羽生結弦選手の研究論文
「無線・慣性センサー式モーションキャプチャシステムの
フィギュアスケートでの利活用に関するフィージビリティスタディ」
研究の背景と動機
フィギュアスケートの採点は審判の主観に依存する部分があり、公平性の担保が長年の課題でした。羽生選手は「選手の技術が正当に評価される仕組みを作りたい」という動機から、自身の感覚と客観的データを結びつける研究を行いました。
技術的アプローチ
- 慣性センサー(IMU)の採用: カメラを使わないため、広大なリンクや照明変化のある試合会場でも使用可能。
- 自身が被験者に: 身体31箇所にセンサーを装着し、トリプルアクセル等の高難度ジャンプを計測。
- AI自動採点の提言: 回転不足やエッジエラーを数値で正確に判定し、公平な競技環境を目指す。
羽生選手の卒論(モーションキャプチャ技術)に関する解説動画
陸上トレーニング (Off-Ice)
道具を使わない練習
基礎身体能力と着氷の安定性を高める必須メニュー。
ボックスジャンプ (Box Jump)
台への飛び乗り練習。着地時に膝がつま先より前に出ないよう、股関節を引き込んだ「ランディングポーズ」でピタッと静止する。
縄跳び (Jump Rope)
助走から踏み切りまでのリズム感と、着氷時の体幹バランスを強化。二重跳び連続などの負荷が必要。
道具を使う練習
スピナー (E-Spinner etc.)
床の上でスピンやジャンプの軸を確認する器具。近年のトレンドは、底面のカーブがきつく不安定な「Edea E-Spinner」などで、より実戦的な軸コントロールを養う。
スピナーを使った回転練習
動画ではEdea社のスピナーを使用し、不安定な状態でいかに軸を保つかを実演しています。
陸上での筋力強化
着氷の美しさは、陸上トレーニングで決まる。
氷上トレーニング (On-Ice)
Chapter 1: 氷上の幾何学とエッジワーク
全ての要素は「正確なエッジに乗る」ことから始まります。トップ選手ほど、コンパルソリー(規定図形)的な基礎練習に回帰し、物理法則を味方につけています。
スリーターン
カーブと同方向へ回転。最も基本的。
ブラケット
カーブと逆方向へ回転。軌跡は「}」型。
ロッカー
同方向回転だが、円の軌道は維持される。
カウンター
逆方向回転。円の軌道が逆の円へ。
動画で確認すると、スリーターンとブラケットのエッジ切り替え位置の違いが一目瞭然です。
伝説の「コンパルソリー」
かつて五輪種目だった「コンパルソリー(規定図形)」。氷の上に正確な「8の字」を描くこの地味な練習こそが、トップ選手の滑らかなスケーティングの源流です。
理論のポイント: 「プッシュして進む」のではなく、「重心を傾けて(リーン)、エッジの曲線に乗ることで勝手に進む」感覚を養います。
付録:道具活用とユニーク練習法
ハーネス(吊り具)
コーチが選手を吊るし、擬似的な滞空時間を作る。空中姿勢の確認や、転倒の恐怖心を取り除くのに有効。
サイレント・スケーティング
氷を削る「ガリッ」という音をさせずに滑る練習。パトリック・チャン選手のように、氷への摩擦(ロス)を最小限にする。
ブラインド(閉眼)練習
目を閉じて滑ることで、視覚に頼らず三半規管と足裏の感覚(固有受容感覚)を研ぎ澄ます。